つくろう!和音読絵本 〜第3時〜
公開日: 2024年10月7日月曜日
第2時の後、学習掲示板には16人が振り返りを提出していました。
困っているという子供達のうち、ほぼすべての子どもが演奏に関する困り事を出していました。一方で、満足しているという子供達は、和音を当てはめる絵に合うイメージを選べたことについて振り返っていました。ほとんどの班が曲が完成したと感じていて、演奏動画を撮影したいという思いをもっていました。
多くの子どもたちが作品に満足している状況で、ゆりこさんが次のような発見をしていました。
「ふたつの高い音で明るいかんじをイメージしました」
これは何を表しているのかゆりこさんにたずねると、ゆりこさんは、2つの明るい感じのする和音を選ぶことで、より一層明るい感じが表せるということを話してくれました。この発見は和音をどのようにつなげるか、つまり、和音をつなぐという音のつなげ方の視点をもつきっかけになる発見だと私は考えました。これは、多くの子どもたちが1つの和音と状況のマッチングを考えることができていて、さらに和音のつなげ方を工夫することで生まれる効果について考えることができると思いました。
そこで、第3時は、和音のつなげ方に着目していくことを目指しました。
授業の冒頭は、次のように進んでいきました。
上原 :前の授業まででほとんどのペアが作品ができたって振り返っていました。ところでみんなは、自分の作品の最後の和音は何を選んだか覚えていますか?
まゆこ:高いドの和音
なつみ:ファの和音
きみこ:ミの和音
上原 :高いドの和音で終わる人はどれくらいいますか?
C :(半数が手をあげる)
上原 :見て。最後の音が高いドの和音で終わっている人多いんだよね。最後の部分について、ゆりこさんがこんなことを振り返りに書いてくれていました。みんなに話してくれる?
ゆりこ:『ぱっ』と『ピース』は元気な感じだから2つとも明るい感じの和音にしました。
上原 :2つとも明るい感じだから、2つとも明るい感じの和音を選ぶことでより一層その明るさを表せるっていうことだね。実際に演奏してみるね。(シの和音→高いドの和音)
C :高い!
C :とっても合ってる。
C :高い音が続いているな。
上原 :シの和音から高いドの和音のつながりがいいってことかな。自分たちでも演奏してみようか。
こうして、自分たちでもゆりこさんがつくった和音のつなげ方をペアごとに体験する時間をとりました。体験する中で他のアイデアももつこどもたちもいました。
上原 :演奏してみてどうでしたか?
ちかこ:シからドもよかったけれど、ファからドだともっとよくなった。
まさこ:私はシの方が明るくていいと思うんだよね。
せいじ:ぼくもファからドがいいと思う。シだと嫌なことがあって叫んでいる感じがするから、ここはファの方がうれしい感じがするからファがいいと思う。
きみえ:ミがいいと思う。
上原 :いろいろなアイデアが出てきました。最後の2つにぴったりな組み合わせの和音を探してみようか。
こうして、最後の場面に合う2つの和音をペアごとに考えることにしました。ペアごとに考えたものを発表する時間は、子どもから組み合わせが出されたら私が演奏してみせるという流れで、次のような意見が出されました。
低いドから低いド→続いている感じがしていい。
低いドから高いド→これもいい。だけど、続いている感じがしない。
ソから高いド→ソは成功している感じがするし、ソって高い音だからつながりもある。最後に成功した感じで終われる。
ソからドは、いわゆる完全終止の和音です。また、ここでだされた「最後に成功した感じで終われる」という感想はいわゆる完全終止を感じてのことだと思いました。そこで、次のように価値づけました。
上原 :今までお話しの場面に合うかって考えていたけれど、お話の最後に合うかっていう新しい見方をしているんだね。
このような価値づけをした上で、曲全体を振り返って音のつなげ方を工夫する時間をもって、終わりました。授業の後の子どもたちの楽譜は次のようになりました。赤鉛筆での書き込みが本時の書き込みです。
このペアは、友達の発言のあった和音をメモするのにも楽譜を使っていました。そして、自分たちが見つけた和音についても記録しています。特に、最後の部分が最後らしさを出すということを考えて取り組んだことがわかります。
このペアは、最後の音のつなげ方に注目した本時の学習を通して、自分たちの作品全体を見直していました。特に、前半部分でファの和音を使って、解決しない感じを表していると見取りいました。
0 件のコメント :
コメントを投稿